思いの失聴

「いつもの」と言われて

いつの「いつも」?と 戸惑う

離れていたとしても

柔らかな心持ちでいれば

たちまちにして たちもどれるというのに

わだかまったなにかを 手放すまい と していると

強張ったような

遠ざかったような 思いのまんま

ふと 

かつても 

いまも 

これからも

なんの 繋がりがないもののようにさえ思えて

行き場を 見失う

心 迷子

鳴いているのに

鳴っているのに

声が 音が 届かない

受け取ろうとしていない

思いの 失聴

一人で 勝手に 哀しみのかたちに 押し込めているだけなのだ

騒がしいほどに

楽しいことは

満ちているのだ

夏の冷や汗 拭い去って

蝉の 謳歌に 倣え

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