チャイでも 淹れるか

わたくし不在の間に

よたよた父 

なんやら やる気出しちゃって

庭の水道周りの お片付けやっちゃってまして
 
この間うっかり むしってくださりやがった 松葉ボタンの 生き残りの 種の可能性の鉢も

跡形もなし

…ちょっと 松葉ボタンの鉢は?と 問うたら

「忘れた」ですと

うちで 誰よりも 忘れたりしない父

そらっとぼけというやつですかそれ?

まだ 蕾とか 種とか あったはずなんだよ

この間も 言ったよね…

「んだってお前 あそこらごぢゃごぢゃで 整理しねえと」と

はじまりましたよ

いつも父が「俺はいいわけ聞きたくて訊いたんじゃねえ!」という 返しを つい 口にしてしまいそうになりました

ぶちまけても よかったのですが

その場で なにか言おうとすると きっと もんのすごく 角張ったものになるのな 言っても分かち合えない部分だな…などと 

怒りというよりも 

がっかりとか 

切り替えないと わたくしが 腐る…と 

口を閉じて その場を辞す

大切と思うものが 違うのも わかってる
 
懐柔したり 譲ったりしながら 折り合いつけてゆくのだよな

頭冷やしに そのまんままた 庭へ戻り

しばし 草ぐさの間にしゃがむ

かやつりぐさを 引き抜いたり

虫やら 花やらに 近づいたり

汗ばむほどに 日に照らされていたら

なんとなく 乾いてきた

前に 咲いて 知らず こぼれた種が

もしかして 来年 芽吹いてくれたららっき♪てことにしよう

志?半ばで むしられてしまった 松葉ボタンには 申し訳ないけど

その もしかしてのあたりに

繋がればいいな

そんなことを改めて 手のひらにのせて 眺めるようにして

甘めのチャイでも 淹れるかな と

家のなかに 入った

ちくちくなわたくしを見て

またかよこいつ…と 苛々したり はらはらしたり 呆れたりしたであろう 父と 母と あんちゃの分もね

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